◆「ザ・ブルース・ムーヴィー・プロジェクト」画像
この作品は、1903年に発見されたとされるブルースの生誕100周年を記念して2003年に公開されたもので、ブルース好きであった映画作家マーティン・スコセッシが企画監修したブルース映画群である。『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』のヴィム・ヴェンダース、『リービング・ラスベガス』のマイク・フィギスなど総勢7名の監督がブルースへの想いを込めて製作しており、その生い立ちから魅力、歴史までを解き明かしていき、熱く壮大な旅路が見事に描き出されている。
マディ・ウォータズ、B.B.キング、レイ・チャールズら巨人たちの映像はもちろん、戦前ブルースマンの貴重な姿まで収録されており、資料的価値も高いものだ。ロック、ソウル、ヒップホップまで音楽の根っこであるブルースと向き合うには、これ以上は望めないであろうブルース・ムービーの決定版である。
映画と音楽を愛する7人の監督が、世界中のミュージシャンとともに奏でる感動の旅を、どうぞあなたにも。
「ザ・ブルース・ムーヴィー・プロジェクト」
2011年12月21日発売
HMBR-9001 18,000円(税込)
ブルース誕生100周年記念作品
2003年作品全7シリーズ
監督:ヴィム・ヴェンダース/ マーティン・スコセッシ/ マイク・フィギス/ クリント・イーストウッド他
出演:エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ローリング・ストーンズ、ロス・ロボス、B.B. キング、オーティス・レディング等々、ブルースを敬愛する世界的ミュージシャンたち
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●「The Soul Of A Man/ソウル・オブ・ア・マン」
監督:ヴィム・ヴェンダーズ
出演:スキップ・ジェイムス、J.B.ルノアー、ベック、ルー・リード、ボニー・レイット、ロス・ロボス他。
1977年、ブラインド・ウィリー・ジョンソンの"ダーク・ワズ・ザ・ナイト"は、宇宙探査船ボイジャーに乗って宇宙へと旅立った。ジョンソンは神への賛歌にブルースのテイストを持ち込み、名声を得た後もストリートで歌い続ける。スキップ・ジェイムスは全18曲を一気に録音したという伝説のレコーディングをするも、消息を絶つ。30年以上経過したある日、彼は発見され「ニューポート'64」のライヴに出演を果たす。ゼブラ柄の燕尾服がトレードマークだったJ.B.ルノアーのブルースは宗教的なテーマを歌うものが多かった。彼は交通事故で38才という若さでこの世を去ってしまう。3 人のブルースメンは音楽性も生き抜いた時代も異なるが、ヴェンダースにとって彼らがブルースそのものであった。その生涯を追う撮影は実に楽しそうだったという。その当時の雰囲気を再現するために古い手廻しカメラで撮影し、まるで当時のドキュメンタリーを彷彿とさせる見事な映像へと創りあげている。伝説的な存在となったブルースマンたちの人生を、当時の映像やドキュメンタリーとライヴ映像、そして現在のミュージシャンたちがカヴァーしたパフォーマンスで綴る。
ナイアガラフォールズ、ニューヨーク州の子サポートセンター
●「Feel Like Going Home」
「フィール・ライク・ゴーイング・ホーム」
監督:マーティン・スコセッシ
出演:アリ・ファルカ・トゥーレ、サリフ・ケイタ、タジ・マハール、コリー・ハリス、オサ・ターナー、ケヴ・モ他。
40年代のジャズ界の舞台裏を描き出した「ニューヨーク・ニューヨーク」、ザ・バンドの解散コンサートの模様を収めた音楽ドキュメンタリーの傑作「ラスト・ワルツ」を手掛けるなど、音楽に対しても造詣が深く、優れたセンスの持ち主でもあるマーティン・スコセッシ監督。そんな彼が選んだテーマはブルースの起源を求めての長い旅路。現役ブルースマン、コリー・ハリスをガイド役に、サン・ハウス、ジョン・リー・フッカー、マディ・ウォーターズら伝説のブルースマンたちの軌跡を辿り、そのルーツを遡っていく。ミシシッピ・デルタ地帯へやって来たハリスは、伝説のファイフ奏者オサー・ターナーと出会う。そして、導かれるようにさらなる源流を求めて、西アフリカの大地へと足を踏み出す。そしてその探訪の中で、タ ジ・マハールやケヴ・モ、サリフ・ケイタらとジャムを繰り広げ、ブルース、ブラック・ミュージックのルーツを浮き彫りにする。大物ブルースマンのライヴ・パフォーマンスも貴重だ。THE BLUES movie project の製作総指揮者、スコセッシ自身が担当した壮大なブルースの旅が見事に描かれている作品だ。
課題は、この世紀に女性が何に直面している
●「Red, White & Blues/レッド、ホワイト&ブルース」
監督:マイク・フィギス
出演:エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、トム・ジョーンズ、ヴァン・モリソン、スティーヴ・ウィンウッド、ローリング・ストーンズ、ジョン・メイオール、B.B. キング他。
人種差別が根強く残っていたアメリカでブルースは"レイス・ミュージック" と呼ばれ、黒人の音楽として白人からは疎まれ、ラジオ等でオンエアされることはなかった。一方、第二次世界大戦後のイギリスでは、人種問題とは無縁の若者たちが、アメリカのブルースを偏見なく受け入れ、夢中になっていく。次第にそれはブリティッシュ・ブルースとして発展を遂げ、アメリカでのブルースに対する評価へと繋がっていく。ブルースが大西洋を渡らなければエリック・クラプトン、ビートルズ、ローリング・ストーンズらのUK ロックは生まれなかっただろう。マイク・フィギス監督はこうした過程を、エリック・クラプトンやジェフ・ベック、ジョン・メイオール、スティーヴ・ウィンウッドらのインタヴューやライヴ・シーンを織り交ぜながら辿っていく。まさにロック・ファン必見!の作品。「ブルースは白人が見向きもしなかった音楽さ。ところが、イギリスの若者がプレイしているのを見て、みんなが注目し始めたんだ。もし、彼らがいなかったら俺たち黒人はずっと闇夜の中にいることになっただろう。」- B.B.キング
●「The Road To Memphis/ロード・トゥ・メンフィス」
監督:リチャード・ピアース
出演:B.B. キング、ボビー・ラッシュ、ロスコー・ゴードン、アイク・ターナー、リトル・リチャード、リトル・ミルトン他。
テネシー州メンフィス、そこはシカゴと並ぶブルースの聖地。このメンフィスのビール・ストリートから"ブルースの王様" B. B. キングも巣立っていった。かつてはルーファス・トーマス、アイク・ターナー、リトル・ミルトンをはじめ数多くのブルースマンがこの聖地にて熱きパフォーマンスを繰り広げていた。リチャード・ピアース監督は、そんなメンフィスのブルースマンたちにスポットを当て、その足跡を辿っていく。シーンのメイン・ストリームとは一線を画し、独自のスタンスを守り続けてきたボビー・ラッシュの姿、B.B.キングやアイク・ターナー、ルーファス・トーマスらの熱いステージを堪能できるのはもちろんのこと、ホテルでのプライヴェート・シーンやツアー・バス、タクシー内にまで踏み込んでいき、彼らの音楽観・ブルース観に真っ向から迫る。当時、唯一黒人音楽を受け入れたラジオ局の白人プロデューサーの発言と、時代の移り変わり を証言するB. B.キングの姿が実に興味深い。この映像から彼らのブルースに対する思い、あの時代への望郷の念が伝わってくるのが感動的でもある。
●「Warming By The Devil' s Fire/デヴィルズ・ファイア」
監督:チャールズ・バーネット
出演:サン・ハウス、マディ・ウォーターズ、ライトニン・ホプキンス、ビッグ・ビル、ビル・ブルーンジー、ウィリー・ディクソン他。
1950年代のミシシッピー。同じ黒人音楽でも、教会で歌われるゴスペルに対して、ブルースは品がなく、良識ある人たちにとっては受け入れがたい音楽であった。そんな時代背景の中、ブルースは悪魔の音楽だと信じる家族の中で育った11 歳のジュニアは洗礼を受けるためにミシシッピーへとやってくる。その面倒を見ることになった叔父はブルースと女を愛してやまない人物。その自宅はブルースのポスターとSP 盤で占領されたまさにブルースの家、叔父はジュニアにブルースとは何かを伝授していく。当初反感を覚えていた少年であったが、やがてブルースに黒人としてのアイデンティティを見いだし、それに目覚めていく。その姿をサン・ハウス、ビッグ・ビル・ブルーンジー、ミシシッピー・ジョン・ハートらの貴重なライヴ映像を織り込みながら瑞々しいタッチで描いている。ブルース発祥の地のひとつであるミシシッピーで少年時代を過ごしたというチャールズ・バーネット監督が、少年時代の体験、回想をもとに映像ドラマ化。ハートウォーミングなタッチの内容でありながら、「ブルースとは、黒人の歴史を背負ったヘヴィで、生半可なものではない」ということを、訴えかけてくれる。
●「Godfathers And Sons/ゴッドファーザーズ・アンド・サンズ」
監督:マーク・レヴィン
出演:ハウリン・ウルフ、マディ・ウォーターズ、ココ・テイラー、マジック・スリム、チャックD、オーティス・ラッシュ、コモン他。
ポーランド系移民のレナードとフィルのチェス兄弟が1948 年に設立したチェス・レコード。50年代にはマディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、バディ・ガイ、リトル・ウォルターなどの才能を輩出して一時代を築き上げる。マディ・ウォーターズはヒッピー・ムーヴメントを意識したかのようなサイケ・ロック色調のアルバム「エレクトリック・マッド」(1968) を発表。今日ではその実験性と先進性から評価されているも、当時は賛否両論を呼び、その革新的なサウンドは評価されることはなかった。やがてブルース・ブームも終焉を迎え、レーベルもその輝きを失っていく。ブルースに同じスピリットとルーツがあることを再認識したパブリック・エナミーのチャックD は、チェス・レコードの創始者であるレナードの息子、マーシャル・チェスに接近、チェス・レコードの及ぼした影響と功績等について語る。そして、ラッパー、コモンらと組み、現代版「エレクトリック・マッド」を再編成、世代とジャンルを超えたブルースとヒップホップの画期的なコラボレーションを実現させていく。また、本作にはマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフのアーカイヴ・ライヴ・シーン、グラミー賞受賞歌手ココ・テイラーのパフォーマンス、日本人ギタリスト菊田俊介のプレイ、ブルース・フェスティヴァルでのオーティス・ラッシュやアイク・ターナー、パイントップ・パーキンスら名プレイヤーたちのパフォーマンス映像が詰め込まれている。マーク・レヴィン監督は、シカゴ・ブルースとヒップホップ� ��コラボレーションが実現していく過程を通して、ブルースのこれまでの歩みとこれからを見つめる。
●「Piano Blues/ピアノ・ブルース」
監督:クリント・イーストウッド
出演:レイ・チャールズ、デイヴ・ブルーベック、ファッツ・ドミノ、ドクター・ジョン、デューク・エリントン、プロフェッサー・ロングヘア他。
ハリウッドを代表する俳優であり、音楽フリークとしても知られるクリント・イーストウッドがピアノ・プレイヤーだけにスポットを当て、ブルースを題材に、ジャズやR&B など現在のブラック・ミュージックに与えた影響を描き出していく。イーストウッドのジャズ好きは有名で、以前演出したチャーリー・パーカーの伝記映画「バード」でも名高い。本作品を最後にこの世を去ったレイ・チャールズをはじめ、デイヴ・ブルーベック、ファッツ・ドミノ、デューク・エリントン、ドクター・ジョン、プロフェッサー・ロングヘアなどブルースだけにとらわれないピアニストまでを網羅し、音楽の楽しさを追求している姿勢に好感が持てる。アート・テイタム、オスカー・ピーターソン、ナット・キング・コール、マーシャ・ボール、パイントップ・パーキンス、ヘンリー・グレイ、ジェイ・マクシャン、ピート・ジョリー、カウント・ベイシーなど素晴しいピアニストたちの登場にも注目。ゲストが演奏する� ��の横に座り、笑顔で聴き惚れているイーストウッドも素敵だが、何よりも高年齢のプレイヤーたちのその姿が素晴らしい。 "ブルースとジャズこそがアメリカのオリジナル芸術"とイーストウッドが語ったこの作品は初のドキュメンタリーとして注目を浴びたが、本人の希望で劇場映画は見送られた。全編に亘って、イーストウッドのピアノ音楽愛に溢れた作品に仕上がっている。
◆BARKS洋楽チャンネル
◆BARKS 映画チャンネル
2011-11-27 BARKS
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